伊勢志摩

邦画

紙の月

『紙の月』は、角田光代さんによる日本のサスペンス小説。学芸通信社の配信により『静岡新聞』2007年9月から2008年4月まで連載され、『河北新報』『函館新聞』『大分合同新聞』など地方紙に順次連載された。 著者の角田さんはこの作品を執筆する際、普通の恋愛では無い、歪なかたちでしか成り立つことのできない恋愛を書こうと決めていたが、実際のニュースで銀行員の女性が使い込みをしたという事件を調べると、大抵が“男性に対して貢ぐ”という形になっていることに違和感を覚えた。そして、“お金を介在してしか恋愛ができなかった”という能動的な女性を描きたいという思いが湧き上がったと話している。2012年、第25回柴田錬三郎賞を受賞。 第36回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を含む3冠に輝いた『桐島、部活やめるってよ』で知られる吉田大八さんによって映画化された。その監督と初タッグを組み、主人公・梅澤梨花を演じるのは『オリヲン座からの招待状』(2007年)以来7年ぶりの映画主演となる宮沢りえさん。不倫相手の大学生役として池松壮亮さん、映画オリジナルキャラクターで梨花の先輩銀行員役としてこれが宮沢さんと初共演となる小林聡美さん、AKB48卒業後初めて女優としての本格的な映画出演となる大島優子さんらが脇を固め、バブル崩壊直後の1994年を舞台に平凡な主婦による巨額横領事件を描く。原作は梨花の周りの人間が彼女を語ることで梨花という存在を浮き彫りにしていく手法がとられたが、映画は実際に横領に手を染めていくプロセスをしっかり描きたいという監督の思いがあったため、原作では少ない銀行の場面や内部の描写をふくらませたサスペンス色が強い作品となっている。
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